MBA予備校、孤独な独学

受験の準備を進めるにつれて分かったのが、多くの受験生は予備校に行くということ。有名な予備校が数校あり、予備校によっては有名な先生もいる。授業料は高いけれど素晴らしい講師陣を揃えたところもあれば、安いけどイマイチなところもあり、高かろう悪かろうなんてところになると、インターネットの掲示板で企業名や講師名を挙げて叩かれてたりする。

提供するサービスもいろいろで、僕が中学のときに通った塾のように、先生がレクチャーして演習問題解かせて模擬試験、みたいなところもあれば、あなたの人生設計お任せください、みたいな専属カウンセラーが受験全般を面倒見てくれるところもある。予備校側も、悩めるニッポンの受験生の苦悩は知り尽くしており、「金さえ積めば多少黒いところも引き受けますぜ、旦那」というマーケットも存在するようで、「それは受験生倫理に反する」と学級委員が糾弾する。

幸いというか何というか、僕の場合は選択肢が限られていて、金を使うな時間を使え、という制約があったため、予備校への出費などは無理な話だった。もちろん受験生コミュニティの中では、独学でMBA受験なんて絶対無理、みたいな論調の人も少なからずおり、不安がなかったわけではない。もしも以前会社勤めをしていたときのような生活だったら、自分で勉強する時間を作り出すのは限りなく不可能に近く、予備校に行くのもアリだった気はする。

そんなわけで僕はエクセルで勉強スケジュールを作り、近所の公立図書館に通った。たぶん独学で一番苦労するのは、自分で自分を律し、前に進むことなのだと思う。ひとつのシートには長期計画を作り、出願から逆算して、いつまでにTOEFLを終わらせてGMATに移るか、なんてことを考えた。もうひとつには三十日先までのカレンダーを描き、毎日どの参考書のどの章を終わらせるかを、語彙、文法、数学といった分野ごとに決めた。このカレンダーをチェックマークで埋めていくことが、それから半年間の僕の生きがいになった。

もともと僕が根暗な性格だったからなのか、この生活はそれほど苦にはならなかった。むしろ、マゾヒスティックな悦びというか、目標のために人知れず苦労している、という陶酔感のようなものを感じていた。人生でこれほどまでに勉強することは、後にも先にもこれが最後だろう。図書館に向かう道すがら、いつもそんなことを思っていた。それが誤りであったことは、そのあとの二年間で嫌というほど思い知ることになるのだが。

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